- THETAを買う気が起きない
- 4K動画では物足りない
- ストレージの容量が少なすぎる
- 手振れ補正が動画の品質を左右する
- バッテリーの交換に対応しない
- 値段が高すぎる
- THETA Z1は水中撮影に非対応
- THETAが優れている点は何か
- 動画を撮るならinsta360 ONE X
THETAを買う気が起きない
RICOHからTHETAシリーズの最新作、THETA SC2が発売されました。THETA Vの廉価版、THETA SCの後継機にあたります。これによりTHETAのラインナップは、エントリーのSC2、ミドルレンジのV、ハイエンドのZ1となりました。これより前の機種もインターネット上では販売が確認できましたが、現役と呼ぶにはやや無理があるでしょう。
THETA Sの発売以来360度カメラを触り続けてきた身としては新機種の発売は嬉しいニュースですが、どうにも購入しようという気が起きません。今回はその理由をまとめていきたいと思います。以下のエントリーも参考にしてください。
4K動画では物足りない
現行3機に共通するのは、4K画質(3840×1920)での動画撮影です。1世代前のTHETA SではFHD(1920×960)が限界でしたから、飛躍的な進化と言えます。しかし、はっきり言って360度動画において4Kでは物足りません。4Kと言っても、エクイレクタングラーで展開した状態での解像度です。実際にVRとして視聴する際の視野の画質はFHDほどとなります。スマートフォンで再生する分にはこの程度の画質で十分ですが、HMDでの再生となると、満足な品質と言い難いでしょう。
現に、コンシューマー向けに360度カメラを発売するメーカーの多くは5K〜6K画質を採用しております。KanDaoは価格もサイズも抑えながら8K動画の撮影に対応したQooCam 8Kを発売しました。それに対して倍以上の価格のTHETA Z1でさえ、動画の最高画質は4Kなのです。動画撮影の用途でTHETAを選ぼうとは思えません。
ストレージの容量が少なすぎる
THETAシリーズはmicroSDなどの外部ストレージに対応していません。内蔵のフラッシュに撮影データを記録するのですが、このフラッシュの容量がSC2で14GB、V及びZ1で20GBです。明らかに少なすぎます。これでは4K動画を1時間も記録できません。
私は360度カメラで星空のタイムラプスを撮影しているのですが、一晩で500枚から1000枚もの静止画を撮影します。Z1では400枚足らずしか撮影できません。
他社の360度カメラはmicroSDに対応し、公称で最大256GBというのが一般的です。実際には512GBでも問題なく動作します。バッテリーが許す限り動画も静止画も容量を気にせず撮影できるのです。
一般的にストレージを完全内蔵化するのは、セキュリティ上の理由や、互換性の問題を排除することで転送速度を確保することが目的です。iPhoneなどがその例でしょう。しかし、THETAにおいてはそのどちらも当てはまりません。4K30fpsの撮影に特別な配慮は必要ありませんし、単なるカメラにセキュリティ上の問題が存在するようにも思えません。microSDに対応しない限り、THETAを買うのには抵抗があります。
手振れ補正が動画の品質を左右する
THETAを含め、殆どの360度カメラが動画の手手振れを軽減するようになっています。THETAはその手振れ補正の品質で他社のカメラに大きく劣っています。insta360やGoProでは、カメラ本体を大きく振り回しても気にならないほど正確な手振れ補正に対応していますが、THETAはそのような品質に達していません。不十分な手ブレ補正はVRでの視聴時に酔いの原因になりますし、アクションカメラのような使い方はできません。
バッテリーの交換に対応しない
insta360 ONE XやGoPro MAXは交換式のバッテリーを採用していますので長時間の撮影でも問題になることはありません。一方THETAシリーズはバッテリーは着脱不可です。
値段が高すぎる
ここまでであげた性能面での理由を考慮した上で他社の360度カメラと価格を比較してみましょう。
モデル | 定価 |
THETA SC2 | 3万6800円 |
THETA V | 5万1770円 |
THETA Z1 | 12万8070円 |
insta360 ONE X | 5万3270円 |
GoPro MAX | 6万1000円 |
QooCam 8K | 6万7100円 |
THETA Z1が異常に高いことがわかります。4K画質に12万円は払えません。続いてTHETA V・SC2も、価格帯がinsta360 ONE Xと干渉しています。insta360 ONE Xは一部の通販サイトで4万円以下で購入できます。この性能差であれば、insta360 ONE Xを選んで間違い無いと思います。
THETA Z1は水中撮影に非対応
360度カメラの多くは専用の防水ケースで水中撮影に対応します。GoPro MAXに至っては本体が防水の仕様となっています。THETAもV、SC2は専用ケースで防水に対応しているのですが、Z1は対応していません。筐体のサイズが異なるため、専用ケースでの利用ができないからでしょう。12万払っても撮影シーンが限定されてしまうのです。
THETAが優れている点は何か
ここまでTHETAを買うべきでない理由を挙げてきました。そんなTHETAですが、他社製品に対して優れている点もあります。それは静止画の品質です。RICOHやPENTAXのブランドで培われた静止画品質は伊達ではありません。暗所での撮影は特に差が出ると思います。ですので、静止画撮影にしか使用しないという方には自信を持ってTHETAをおすすめします。
とくにTHETA SCは、1世代前とはいえ解像度はSC2と変わりませんし何より値段が2万円ほどです。動画は撮らない、静止画を撮れれば十分という方にとって最適な機種と言えます。そもそも360度動画は管理や編集がシビアですから、静止画特化は初心者向けとも言えます。
動画を撮るならinsta360 ONE X
先程も軽く触れましたが、insta360 ONE XはGoPro MAXの登場などにより価格が下がり始め、4万円を割っています。周辺機器もユニークなものが多く、この機種を持っていればあらゆる撮影シーンに対応できます。動画も満足に撮影したいという方はinsta360 ONE Xを選ぶべきです。