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タイムラプス編集
前回のレタッチでエクイレクタングラー形式のJPEG連番画像が揃いました。今回はPremiere Proを使用してタイムラプス動画に仕上げます。
今回は映像編集ソフトとしてPremiere Proを利用します。月額制のサブスクリプションですが、非常にクオリティの高いソフトですので、前回使用したLightroom Classicと合わせて登録することをお勧めいたします。
Premiere ProのVRエフェクトは、GPUアクセラレーションを使用する必要があります。基本的にはNVIDIA製のグラフィックボードが必要となります。詳しいGPUの互換性についてはこちらをご覧ください。
これらの環境をお持ちでない場合は次回の記事をご覧ください。新しくグラフィックボードを購入する場合はGeForceを選んでください。筆者はRadeon環境ですが、Adobeと相性が悪くかなり苦労しています。
読み込み
Premiere Proを起動し、新しくプロジェクトを作成します。
プロジェクトの名前と保存先を指定します。レンダラーにGPUアクセラレーションを指定します。これが選択できない場合、VRエフェクトは使えません。
左下のプロジェクタタブ上で右クリック>読み込みを選択。連番画像の始点を指定し、左下の画像シーケンスを選択して読み込んでください。
プロジェクトに追加された素材を右クリック>変更>フッテージを変換を選択。
読み込んだ連番画像のフレームレートを確認します。デフォルトでは日本で広く使われている29.97fpsになっているはずです。尺を伸ばしたい等の都合でフレームレートを変えたい場合はこの時点で右クリック→フッテージの変換よりフレームレートを指定してください。VRプロパティ>ピクセル縦横比を指定を選択、正距円筒図法、平面視と設定してOK。
連番画像を右のタイムラインにd&d(ドラッグアンドドロップ)して読み込みます。プロジェクト内にシーケンスが生成されます。
天頂補正
この時点では再生ウィンドウの中央部(筆者は撮影時に設置を間違えたので両端)に空が位置しています。エフェクトを使用して天頂補正を行います。
エフェクトタブよりビデオエフェクト>イマーシブビデオ>VR回転をドラッグしてタイムライン上の連番画像にドロップします。
左上のエフェクトコントロール内のVR回転>チルト(X軸)、パン(Y軸)、ロール(Z軸)の3つのパラメータを調整します。再生ウィンドウ右下の設定マークからガイドを表示して、地平線が水平になるように調整します。
以上が基本的なタイムラプス動画の制作となります。
比較明タイムラプス
続いて、starstaxを使用した比較明合成タイムラプスの制作を紹介します。StarStaxとは、比較明合成を行えるソフトです。以下のように星の軌跡が描かれていく映像を制作できます。
StarStaxをインストールします
StarStaxに連番画像を読みこみます。
左のファイルリストのうち、日没直後の明るいフレームや、ライトなどによる極端に明るいフレームのチェカボックスを外します。
save each stepを選択し、出力先を指定します。左上1番右の流れ星のアイコンを押して出力を開始します。
以上で比較明合成の連番画像が生成されますので、先ほどと同じ手順でPiemiere Proで編集していきます。
StarStaxのComet modeという項目を有効にすることで、以下のように彗星のように尾を引いた映像に仕上げることもできます。
星空固定タイムラプス
星空が動かずに地面が回転していく映像がinstagramで話題になりました。通常のカメラであれば精密な赤道儀を使用しなければ撮影できませんが、360度カメラであれば簡単に編集することができます。
まず先程starstaxで出力した画像のうち任意の1枚をPremiere Proに読み込みます。この画像にVR回転エフェクトを使用します。
VR回転の3つのパラメータを光跡が水平になるように調整します。北極星が上辺付近で線状になれば大体OKです。そのパラメーターの値を何処かにメモしておいてください。
続いて、スティッチ済みの連番画像を読み込み、VR回転エフェクトをかけて先程メモした値を入力してください。この時点で映像を再生すると、星が左から右へと真横に移動しているのが確認できると思います。
VR回転エフェクトをもう一つd&dします。2つ目のVR回転エフェクトのうち、y軸の右側の時計マークを押してキーフレームを有効にします。
映像の始点と終点をキーフレームに指定し、始点を0とします。終点に指定する値は、撮影中に天球が地球が自転した角度となります。この値をθ、インターバル時間(シャッターを切り始めてから次にシャッターを切り始めるまでの時間)をt秒、合計のフレーム数をx枚とすると
θ=t×x/240
で大体の値が求まります。終点のキーフレームは、-θと設定してください。マイナスをつけるのを忘れずに。
シークバーを動かして星が動かないことを確認してください。動いてしまう場合はθの値を微調整してください。ここまでで、星が動かない映像は完成となります。
映像の始点で、地面の位置を変えたい場合はさらにもう一つVR回転エフェクトを追加して調整してください。こちらはキーフレームを使用する必要はありません。
書き出し
複数の映像を1つの作品にする場合は、VRトランジションを設定します。BGMなどもつけます。普通の素材をVR360に使用する場合は、平面として投影エフェクトを使用します。
最後にタイムラプス映像を書き出します。
ファイル→書き出し→メディア
ファイル名と保存先を指定し、HEVC(H.265)の形式で書き出します。プリセットはカスタムを選択し、解像度は2:1で設定してください。特にこだわりがなければ入力解像度と同じで大丈夫です。ビットレートはVBRで、目標50Mbps最大60Mbpsを目安として設定します。VRビデオが有効になっていることを確認して、書き出してください。
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